確定申告は、正確に行うことが求められますが、記入ミスや計算誤りで申告内容に誤りが生じることがあります。
誤りに気づいた場合、放置すると追徴課税が発生する可能性があるため、迅速な対応が求められます。
本記事では、提出した申告書に誤りがあった場合の対処法とペナルティについて解説します。
確定申告の誤りを修正する方法には、大きく分けて3つあります。
申告期限前に気づいた場合は「訂正申告」、申告期限後に気づいた場合は「更正の請求」または「修正申告」があります。
「更正の請求」は税額を実際より多く申告していた場合に、「修正申告」は税額を少なく申告していた場合に行います。
それぞれ、手続きの対象や税額への影響などが異なるため、状況に応じて選ぶ必要があります。
申告期限前に申告内容の誤りに気づいた場合は、訂正申告が可能です。
訂正申告では、改めて申告書等を作成し、申告期限までに提出します。
税務署では、同一の納税者から同じ申告期間中に複数の確定申告書が提出された場合、最後に提出された申告書を正式な申告として扱います。
申告期限を過ぎてから修正すると、追加で税金が課される場合もあるため、誤りに気づいた場合は必ず期限内に対応することが重要です。
申告期限後に、既に提出済みの申告書で過大に納税していた場合は、「更正の請求」を行うことで払い過ぎた税金の還付を受けることができます。
更正の請求を行う場合は、所轄の税務署長宛に「更正の請求書」を提出します。
更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。
提出された請求書は税務署で内容が確認され、請求内容が正当と認められた場合には、減額更正が行われます。
その際は請求者に内容が通知され、納め過ぎていた税金が還付されます。
なお、更正の請求をすれば必ず還付を受けられるわけではない点に留意が必要です。
また、更正の請求を行うケースとしては、医療費控除や住宅ローン控除などの控除漏れをした場合などが挙げられます。
一方で、申告期限後に税額が少なかったことに気付いた場合は、「修正申告」を行い正しい税額に修正する必要があります。
修正申告は、税務署から指摘を受ける前であればいつでも行えますが、できるだけ早めに手続きを行うことが望ましいです。
追加で納める税金が発生する場合は、法定納期限の翌日から支払い日まで延滞税がかかることがあります。
また、状況によっては過少申告加算税が課される場合もあるため注意が必要です。
修正申告をする日が遅れるほど、延滞税が多くかかるため、誤りに気付いた場合は速やかに対応しましょう。
申告方法は、いずれの修正方法の場合も一般的な確定申告のやり方と同様に、税務署への持ち込みや郵送、e-Taxで行えます。
申告期限を過ぎたり誤った申告をした場合には、以下のようなペナルティが課されることがあるため注意が必要です。
既に申告した税額が実際より少なく、後から修正申告や税務署の指摘で税額が増える場合に課されます。
増加した税額に対して50万円までの部分は10%、50万円を超える部分は15%が加算されます。
また、税務調査の指摘前に自主的に修正をした場合は、減免される制度があります。
申告期限までに申告を行わなかった場合に課されます。
納付すべき税額に対して50万円までの部分は15%、50万円超300万円以下の部分は20%、300万円超の部分は30%が加算されます。
また、税務調査の指摘前に自主的に申告をした場合は、軽減される制度があります。
なお、法定申告期限から1か月以内に自主的に申告をするなど一定の要件を満たした場合は、無申告加算税はかかりません。
本来の納付期限から納付日までの日数に応じて課されます。
延滞税の税率は、納期限の翌日から2か月以内は年2.4%、2か月を超えると年8.7%と高くなります。(令和7年8月現在)
意図的に申告をしなかったり、虚偽の内容を記載した場合に課される非常に重いペナルティです。
原則として35%、悪質な場合には40%が課されます。
脱税行為とみなされれば刑事罰の対象となることもあります。
確定申告の誤りに気づいた場合は、状況に応じて「訂正申告」「更正の請求」「修正申告」のいずれかの手続きを行います。
期限前に気づいた場合は訂正申告、期限後で還付目的なら更正の請求、納税額修正なら修正申告です。
誤りを放置すると加算税や延滞税の対象となるため、早めの対応が重要です。
確定申告の誤りに気づいた際は、まずは税理士に相談することをおすすめします。