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個人事業主と法人の違いは?法人化するタイミングなどについて解説

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事業を始める際、個人事業主と法人のどちらを選ぶかは重要です。
税金、責任の範囲、社会保険、法人化のタイミングの観点から、両者の違いを解説します。

個人事業主と法人の違いは?

個人事業主と法人では、法的な位置づけが大きく異なります。
個人事業主は自然人として事業を行う形態で、事業主本人と事業が一体となっています。
税務署に開業届を提出することで手続きが完了します。
一方、法人は会社法に基づく株式会社や合同会社のほか、一般社団法人やNPO法人なども含まれる独立した法人格を持つ組織体です。
設立には登記手続きや定款の作成が必要となります。
法人は事業主とは別の人格を持つため、契約や財産の所有も法人名義で行われます。
この基本的な違いが、税金、責任の範囲、社会保険などさまざまな面での違いを生み出しています。

支払う税金の種類と違い

個人事業主と法人では、納める税金の種類と計算方法が異なります。

個人事業主が支払う税金

個人事業主が納める主な税金は次のとおりです。

  • 所得税
  • 住民税
  • 個人事業税
  • 消費税

所得税は累進課税制度が適用され、税率は5%から45%まで所得に応じて段階的に上がります。
課税所得が195万円以下であれば5%ですが、695万円を超えると23%、900万円を超えると33%と高くなっていきます。
住民税は所得割が原則10%で、これに均等割が上乗せされます。
個人事業税は業種によって3%から5%の税率が適用され、所得が290万円を超えると課税されます。
消費税は原則として基準期間の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者となりますが、インボイス登録事業者となった場合は売上高が1,000万円以下でも課税事業者になります。

法人が支払う税金

法人が納める主な税金は次のとおりです。

  • 法人税
  • 法人住民税
  • 法人事業税
  • 特別法人事業税
  • 消費税

資本金1億円以下の普通法人の場合、法人税率は年間所得800万円以下の部分が15%、超える部分が23.4%です。
法人住民税は法人税額に応じて計算される法人税割と、資本金などに応じた均等割から構成されます。
均等割は赤字でも納める必要がある点に注意が必要です。
法人事業税は所得に応じて課税され、特別法人事業税とあわせて納付します。
消費税の扱いは個人事業主と同様です。

責任の範囲の違い

事業で生じた債務に対する責任の範囲も、個人事業主と法人では大きく異なります。

個人事業主の場合

個人事業主は事業の債務について無限責任を負います。
事業で借入をした場合や取引先への支払いが滞った場合、事業用の財産だけでなく個人の財産も含めたすべての財産で責任を負わなければなりません。
事業用と個人用の財産に法的な区別はなく、自宅や個人の預金なども債務の弁済に充てる必要があります。

法人の有限責任

株式会社などの法人では、出資者は出資額を限度とした有限責任を負います。
会社が倒産しても、原則として出資者の個人財産までは責任を負いません。
ただし、中小企業の場合、金融機関から融資を受ける際に代表者が個人保証を求められることが多く、実質的には無限責任に近い状態になることもあります。

社会保険加入義務の有無の違い

社会保険の加入義務も個人事業主と法人では異なります。

個人事業主の社会保険

個人事業主本人は国民健康保険と国民年金に加入します。
国民年金は第1号被保険者として、定額保険料を納付します。
従業員を雇用する場合、常時5人以上の従業員を使用する事業所は業種により社会保険の強制適用となります。
国民健康保険と国民年金の保険料は全額自己負担となり、将来受け取れる年金額も厚生年金に比べて少なくなります。

法人の社会保険

法人の事業所は従業員数にかかわらず強制適用事業所となり、健康保険と厚生年金保険への加入が義務付けられています。
代表者も社会保険の被保険者となり、役員報酬に応じた保険料を納付します。
社会保険料は会社と従業員で折半するため、会社側の負担が大きくなります。

法人化を検討するタイミング

個人事業主が法人化を検討するタイミングは、次のようなケースが考えられます。

課税所得が695万円を超えたとき

課税所得が695万円を超えると所得税率は23%となります。
資本金1億円以下の普通法人であれば、800万円以下の所得部分は15%の法人税率が適用されます。
このため、一定水準の所得を超えた場合は法人のほうが税率面で有利となる可能性があります。
ただし、法人税以外の税金や社会保険料の負担も生じるため、総合的に判断する必要があります。

事業拡大を検討するとき

事業拡大を目指す段階も法人化のタイミングです。
法人は登記が必須であるため、個人事業主より社会的信用が高い傾向にあります。
将来的に増資などにより資金を集める可能性がある場合も、法人形態の方が選択肢が広がります。
従業員を雇用し社会保険を整備することで、優秀な人材確保につながる場合もあります。

まとめ

今回は個人事業主と法人の違いについて解説しました。
税金の種類や計算方法、責任の範囲、社会保険加入義務の有無など、多くの面で両者は異なります。
法人化を検討する目安の一つは課税所得が695万円を超えたときですが、税金だけでなく社会保険料や事業の将来計画も踏まえて判断することが重要です。
法人化を検討する際は、税理士など専門家に相談し、自社の状況に合った選択をすることをおすすめします。